☆★☆★☆★ フォーガットン  ★☆★☆★☆

なぜ、消えてしまうのか?

 8歳のひとり息子、サムを飛行機事故で失ってから14ヶ月、テリーは未だにサムの死から立ち直ることができずにいた。異変は静かに始まった。夫とサムと3人で撮った家族写真からサムの姿だけが消えていたのだ。落ち込む彼女を心配する夫の仕業だと思ったテリーは「大切な写真を勝手に替えないで!」と抗議する。だが、夫は悲しそうに答える。「僕らに子供はいないんだよ。君は流産し命まで危なかった」。かかりつけの精神科医にも「時によって人は、想像以上の人物や思い出を作り上げ、信じ込んでしまうんだ」と説明される。白紙のアルバム、何も写っていないビデオ、まったく話のかみ合わない隣人。周囲の人すべてに自分の人生ともいうべき大切な記憶を否定されてしまうテリー。図書館の新聞のバックナンバーにも飛行機事故の記事は一行も載っていない。
 ───昨日までと、何かが違う。
現実と妄想の狭間に迷い込んだテリーは、絶望と恐怖の中で次第に追い詰められていく、果たしておかしいのは自分なのか、それとも…愛する息子の記憶だけを胸に、絶望的な戦いに飛び込んでいくテリー。そこには彼女を極限まで震え上がらせる、想像も絶する事態が進行していた。