☆★☆★ ボーンアイデンティティー ★☆★☆

男は彼らの「武器」となる為に
  訓練されたはずだった


  嵐の地中海沖でイタリアの漁船が、海上に浮いている男(マット・デイモン)を救い上げる。男はウエットスーツを身に着け、数発の弾丸を受け、皮膚の下にはスイスのチューリッヒ相互銀行の口座番号が印されたカプセルが埋め込まれていた。医療の心得がある漁師によって体から弾丸を取り出されると、男は意識を取り戻す。だが、男は記憶を失っていた。自分はいったい誰なんだ?身元も経歴も何ひとつわからないとはいえ、男は戦う術を身につけている上、語学に堪能で、自己防衛本能も、優れていた。これは、明らかに彼の危険に満ちた過去を物語るものだった。男は混乱し、用心深くなっていた。そして、早急に自分の正体を突き止めることを決意する。
 船はイタリアの小さな港町に着き、仲良くなった漁師は男に当座の金と寒さをしのぐためのアノラックを手渡す。その夜、公園のベンチにねぐらを求めた男は、パトロール中の警官にとげめられる。その瞬間、男は無意識に体が反応し、あっという間に2人を倒してしまう。ボーンは自分に身についた特殊な能力を知り、呆然とする。
 雪の舞い散る山中を鉄道で北上。男はスイスのチューリッヒ相互銀行を訪れる。貸し金庫の中からはアメリカのパスポートが出てきた。国籍はアメリカ合衆国、名前はジェイソン・ボーンとある。そして、現住所はパリと記載されていた。ようやく、自分の名前がわかり安堵するボーン。が、金庫の底には、いくつもの名前が書かれた世界各国のパスポートも隠されていた。さらに山ほどの札束と自動拳銃も入っていた。ただごとではないことを察知したボーンは金庫内のものを赤いリュックに詰めて急いで銀行を後にする。
 その頃、ヴァージニア州ラングレーのCIA本部では、テッド・コンクリン(クリス・クーパー)が苦虫を噛み潰していた。ジェイソン・ボーンが生きていた!奴は自分が指示した国際的陰謀のすべてを知っている。奴を殺せ!コンクリンはヨーロッパの各国にいるプロの殺し屋たちに極秘の指令を発信する。
 誰かが自分を狙っている。不穏な雰囲気を感じ取ったボーンは急いでアメリカ大使館に駆け込んだ。だが、昨夜の乱闘で指名手配されていたボーンを見つけた追手らしき者たちが銃を装備して館内でボーンを探し駆け回る。たちまち館内中が包囲されるが、ボーンはとっさの判断で追跡を掻い潜り、階上の非常口から決死のジャンプを試みる。
 迫る危機を回避するため、ボーンは脇道に駐車していた車に乗ろうとしていた女性(フランカ・ポテンテ)にパリまで乗せてくれと交渉する。女の名はマリー・クルーツ。彼女は怪しい男の出現にためらうが、即金で1万ドル、パリに着いたらもう1万ドル払うという条件に惹かれ承諾する。
 ようやく、パリに到着。2人はボーンの名のパスポートに記されていた住所のアパートにたどり着く。だが安心したのもつかの間、部屋に入って間もなく、コンクリンが送り込んだ殺し屋カステル(ニッキー・ノード)がガラスを破って飛び込んできた。もうここにもいられない。ジェイソンは格闘の末、カステルを倒し、マリーの車を駆って逃走する。背後に迫るパトカーの執拗な追跡をかわして逃げ延びるボーン。その尋常ではないドライビング・テクニックにマリーは驚愕する。そして、ボーンばかりではなく、マリーも追手たちに正体を知られていることが判明。2人は街の安宿に逃げ込み、マリーの肩まで伸びた長髪を変装のためショートカットにする。究極の危険の中で、ふたつの心は惹かれあい、ひとつに結ばれる。
 やがて、ボーンが巻き込まれた事件の謎を解く鍵がマルセイユにあるとわかった2人はフランスを南下。途中、マリーの昔のボーイフレンド、イーモン(ティム・ダットン)が所有する農家に立ち寄った。家は留守で安全のはずだったが、イーモンが幼い2人の子供とレトリバー犬を連れて帰ってきてしまった。そして翌朝、犬がいなくなったと聞いたボーンは、追手の殺し屋がすぐそばにいることを直感する。彼はイーモンと子供たちを地下室に避難させ、農家にあったライフルに弾丸を詰め、単身で屋外に飛び出した。ボーンは、最強の暗殺者"教授"(クライヴ・オーウェン)と対決する…。
 果たして、ボーンの背景に隠された事件の真相とは?そして、ボーンとマリーは生き残ることができるのだろうか?